浜離宮の珍植物が開花
2008年7月下旬、汐留近くの浜離宮恩賜庭園でリュウゼツランが開花した。キバナコスモスが咲き誇るお花畑の一角、高層ビルをバックに、にょきにょきと高さ6~7メートルもの花茎が天に向かって伸びるその姿は、見る人をひきつける。メキシコ原産の多年生多肉植物で、肉厚の大きな葉が竜の舌をイメージさせることから「竜舌蘭」の名がついた。成長がおそく、花をつけるのが100年に1回という意味で、センチュリープラントという英語名を持つ。種類は100とも300とも言われ、メキシコの酒テキーラの原料になる種もある。浜離宮のものは、アオノリュウゼツランといって、葉が青みがかっているのが特徴だ。
今は東京都の公園だが、江戸時代は浜御殿といって将軍家の別邸、明治以降は皇室の離宮となり迎賓館が置かれた時代もあった。そんな由緒ある庭園の中になぜこんな植物が……庭園関係者に聞いてもよくわからない。戦後、進駐軍が気まぐれに植えたという説もあり、だとすると、植えてから60年ほど経っていることになる。
今年は6月に、国立科学博物館筑波実験植物園(つくば市)でリュウゼツランの一種、サケリュウゼツが芽生えから30年以上経って初めて開花したというニュースを聞いて以来、都立夢の島熱帯植物館(江東区夢の島:地下鉄有楽町線新木場駅近く)では何と2年連続、しかも2株が同時に開花したというし、藤沢市江ノ島では数株が同時に咲いているなど開花情報が多い。浜離宮でも最近では2003年に咲いた記録があった。珍しい珍しいと言われるが、全然そんな気がしないのだ。珍しいはずの開花がこれだけ集中するのは、もしかして地球温暖化の影響?
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