関心高まる「徳川家霊廟」
港区芝にある浄土宗大本山増上寺は、上野の東叡山寛永寺(天台宗)と共に徳川将軍家の菩提寺として知られ、二代秀忠・六代家宣・七代家継・九代家重・十二代家慶・十四代家茂の六人の将軍とその正室らが埋葬されている。2011年は、この増上寺が、改めて多くの人々から注目される年になりそうだ。というのも、NHK大河ドラマの主人公・浅井三姉妹の末娘「江」が二代秀忠の正室として埋葬されているからである。
その墓所があるのが「徳川家霊廟」(写真上)。もともと将軍や正室は、広大な敷地に1人ひとり別々に立派な霊廟が建てられ埋葬されていたのだが、大戦時の空襲でほとんどすべてを消失してしまった。そこで戦後「徳川家霊廟」として1カ所にまとめられ、崇源院(江)も秀忠と同じ場所に合祀されるに至ったということらしい。
ところでこの霊廟、一般に公開されるのは、徳川家康が崇拝した「黒本尊」と呼ばれる阿弥陀如来像が開帳され「正五九祈願会」が催される正月、5月、9月の各15日と、4月の花まつり、11月頃のみなと区民まつりなど、ごく限られた時期だけとなっている。さっそく今年最初の公開日である1月15日に参拝に訪れたが、墓所はきれいに整備され、花が供えられ、香がたかれていた。秀忠と崇源院が眠る墓所は一番奥の右側(写真下)にあり、最も多くの参拝者の関心を集めていた。また霊廟内には、増加が予想される観光客を意識してか、消失前の秀忠と崇源院の見事な霊廟の写真が掲示板に掲げられていた。今後、大河ドラマの反響次第で霊廟の公開日が増えるとの未確認情報もあるが、たとえ参拝の動機がテレビドラマやゲームあっても、国民が国の歴史の一端を学習するきっかけになるのは悪いことではないだろう。
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