防災を考える公園
江東区有明に「東京臨海広域防災公園」という、いかめしい名前の公園がある。国営公園と都立公園が合体した公園で、13ヘクタールに及ぶ広さが1つの特徴だ。そもそもこの公園、首都圏で大規模な地震災害等が発生した際には、国や地方公共団体の緊急災害現地対策本部が設置され、さまざまな機材や物資の集積地や医療・救援活動の基地として使われることを想定して計画されたもので、その活動の邪魔になる遊具等は一切なく平坦な土地が広がっている。
中心となる施設は、ゆりかもめ有明駅に近い一画に建つ防災体験学習施設「そなエリア東京」(写真中左)だ。さまざまな体験学習や展示物を通じて防災に関する理解を深めることができる。緊急時には対策本部が置かれる施設でもあり、まだ訓練以外には使用されたことのないオペレーションルーム(写真中右)も窓越しに見ることができる。目玉の企画は「東京直下72時間ツアー」。地震発生直後の街中を避難しながら、タブレット端末で提供されるクイズに答え、救援が届くまでの72時間を生き残る知恵を学ぶという30分程度のプログラムである。体験してみると、端末操作にモタモタしてしまい、ほとんど内容が頭に入らない状態だったが、被災した街を再現したセットはなかなかの雰囲気で(写真下左)一見の価値ありである。
ツアー体験の後は防災グッズの売店を兼ねた「そなえカフェ」で一服。「月替わり非常食セット」のメニューが興味を引く。訪ねた2017年6月はレトルトパウチの「えびピラフ」と「おでん」、缶入りの「抹茶チーズケーキ」のセットで870円(写真下右)。それぞれの商品を実際に買うよりは割安で、非常用食品の品質を試す良い機会であった。最近、味が大きく改善されていると聞くが、まだまだというのが正直な感想である。
国際展示場・東京ビッグサイトを訪ねることはあっても、その目と鼻の先にあるこの公園まで足を運ぶ人はそう多くないだろう。規模からして維持費も大変であろうに、一般の認知度が今一つの公共施設の実態、納税者として、できれば自分の目で確かめておきたいものである。
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