外苑の銀杏並木輝く
2010年11月27日、明治神宮外苑の銀杏並木を歩いてきた。11月13日から12月12日まで「第14回いちょう祭り」を実施中で模擬店なども出ており、特にこの日は「クラシックカーパレード」などの企画もあって結構な人出。肝心の銀杏の色づきはというと、やはり異常気象の影響か「今年は今一つ元気がない」という常連さんのつぶやきが聞かれたが、それでも見事な紅葉であった。
さて、初詣の参拝者数日本一ということでも有名な明治神宮は、決して歴史の古い神社ではない。今でこそうっそうとした緑に包まれているが、もともと畑地だったところに大規模な人工の森が作られ、明治天皇と妃の昭憲皇太后を祀る神社として、大正9年(1920)に創建されたのである。
一方、外苑のほうは、明治神宮の敷地の外にある庭という意味で、大正15年(1926)、明治天皇と昭憲皇太后の功績を讃える聖徳記念絵画館を中心に、陸上競技場や野球場を備えた文化とスポーツの普及拠点として誕生した。この場所は兵士の訓練施設があったところで、明治天皇の葬儀が行われた場所でもある。明治神宮の建設はいわば国家プロジェクトであったが、こちらは広く国民の寄付を集めて建設されたとアナウンスされている。
その明治神宮外苑のシンボリックな風景が、中央に聖徳記念絵画館を望む銀杏並木である。銀杏の木は全部で146本あり、すべて新宿御苑にあったイチョウのタネ(ギンナン)から育てた若木を植えたもので、大正12年(1923)に完成したそうだ。手前から奥へ、成長がよく背の高いものから順に植えてあり、絵画館を中心としたシンメトリックな遠近法の構図が強調されるようになっているという。まさに絵に描いたような風景。春夏秋冬それぞれに美しい並木だが(写真左)、やはりこの時期の黄金色の輝きが一番であろう。
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