ビルの谷間の「緑の道」
都内を地下鉄で移動していると、もしかして歩いて行ったほうが早かったんじゃないの、と思うことがままある。一例として、地下鉄日比谷線神谷町駅付近で用事を済ませ、次は南北線六本木1丁目駅で人と会うというケースを取り上げてみよう。地下鉄路線図でみると、どうみてもうまい乗り継ぎはない。ここで面倒だからタクシーで、などと考えたらお金と時間の無駄になる確率が大である。実はこの両駅、直線距離で500メートルくらいしか離れていない。天気が良ければ徒歩で行くのが断然おすすめである。いい感じのルートがあるのだ。
神谷町駅の2番出口からメイン通り(桜田通り)の1つ内側の細い道に出ると、エスカレーターのついた階段が見つかる。ここがそのルートの入口(写真上左)。特に名称が表示されているわけではないが、「神谷町緑道」と呼ばれているそうだ。「緑道」というのは、開発地域の土地の一部を提供して誰もが自由に通行できるようにした部分を指し、道路ではなく公園に近いものらしい。ここは高層ビル「城山トラストタワー」を核とした「城山ガーデン」(1991年竣工)の一部で、ビルの谷間とは思えない自然な形で樹木が茂り、心地よく歩くことができる。途中に東屋があるので一休みもできるし、春は桜が、秋は紅葉が楽しめる。
緑道を抜けると視界が開け、信号を渡って「泉ガーデン」(2002年竣工)に入る。そこには、青緑色をしたガラス張りの外観が異彩を放つ高層ビル「泉ガーデンタワー」がそびえている。土地の傾斜をうまく利用した設計も好印象だ(写真下)。もうこの地下が六本木1丁目駅である。
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