参謀本部から見た東京
この風景、ちょっと新鮮! 落葉した冬場ならもう少し見通せるだろうが、中央には桜田門、左が皇居で、右手には霞ヶ関の官庁街が広がる。道路は内堀通り、さらに手前には首都高が地下に潜っている。桜田門の彼方には、東京駅があるはず…というロケーションだ。
これは、国会前庭北地区からの眺めである。背後には、国会議事堂がある。北地区というからには南地区もあり、北地区は洋風庭園、南地区は和風庭園になっている。両方合わせて日比谷公園の3分の1ほどの広さ、ビジネス街からも離れ、静かで落ち着いた公園だ。
さて、この国会前庭北地区、江戸時代には井伊家の上屋敷があった。かの井伊直弼は、いま目の前にある内堀(桜田濠)沿いの道を通って桜田門に向かう途中、暗殺されたのであった(桜田門外の変)。明治になると、陸軍省・参謀本部・陸地測量部といった政府機関が置かれた。陸軍省・参謀本部は昭和16年に市ヶ谷に移っているが、空襲で焼け落ちるまで、この地には立派な洋館がそびえていたという。そうした歴史の一端を物語るのが「日本水準原点」である。明治24年(1891)に、日本全国の統一された標高決定のための基準として作られ、このローマ風神殿建築に倣った石造りの建物(標庫)に守られて今日に至っている。ちなみに、この原点の標高は24.4140メートルとある。なお、写真の時計塔は「三権分立の塔」と呼ばれ、庭園のシンボルになっている。
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