乃木坂の不思議空間
青山霊園を横切って表参道・南青山と赤坂をつないでいる道路に、ユニークなトンネルがある。乃木坂トンネルという。写真上の左が南青山側、右が乃木神社に隣接する赤坂側の出口である。これが同じトンネルの両端だなんてとても思えないだろう。なんと半分は地上部分に設けられた巨大なハーフパイプの陸橋で、途中から地下にもぐっているという構造なのだ。
トンネルは自動車専用で徒歩では通り抜けできない。歩行者は陸橋部分の両側に設けられた通路と、トンネル上の道路を歩いていくのだ(写真A)。短い距離だが周りの風景は劇的に変化する。いったいどうなっているのか頭が混乱するが、相当起伏の激しい地形に作られていることは確かだ。歩いている間はずっと空が見えるので、ドライバーにはトンネルでも歩行者にとってはそうではない。誠にユニークな構造物である。開通したのは1997年と聞く。かつては赤坂側の出口も青山側の出口も崖のようになっていて、車は大きく迂回しなければならなかったようだ。開通当時は、相当便利に感じられたことだろう。
ところで、トンネルのちょうど真下には地下鉄千代田線乃木坂駅がある。駅には6つの出口があるが、やはり複雑な地形を反映して、出口によって大きく異なる風景を楽しめる。ちなみに写真上の右側が1番出口からの風景、左の写真Bは5番出口から出ると正体が見える陸橋部分である。なお東京ミッドタウンは六本木というイメージだが、乃木坂駅の1~4番出口からは徒歩3〜4分で行ける。国立新美術館には、2007年の開館にあわせて新設された6番出口が直結している(写真C)。だから確実に六本木駅より近い。何となくミステリーのトリックにでも使えそうなこの不思議なスポットが、ちょっと気に入ってしまったようである。
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