境内でアート鑑賞
2001年に竣工した愛宕グリーンヒルズ。超高層のツインタワーに挟まれるようにして、立派な近代建築の山門を持つ寺がある。青松寺という。江戸城を築城した太田道灌によって1476年に今の麹町に建立され、徳川家康の江戸城拡張事業の影響で当地に移転してきた歴史ある寺である。しかし、関東大震災や戦災によって壊滅的な被害を受けたため歴史を感じさせる建物等は少なく、森ビルが手がけたこの大規模再開発事業によって今日の姿に生まれ変わったのだそうだ。
境内は愛宕グリーンヒルズと一体になっていて管理が行き届き、散策するのも気持ちがよいが、アートスペースとして鑑賞するのも面白い。山門でにらみを効かせる四天王(写真左下)、壁に埋め込まれた龍(右上)、大きな観音様、キモカワイイ子供のお釈迦様のような像(右中)、そしてまたまた怪しげな十二支のオブジェ。特に奇妙なのが「丑」で、頭に角が生えた子供の姿をしている(右下)。どこかで見たような…と思って懸命に思い出してみると、平城遷都1300年祭のマスコット「せんとくん」にそっくり! 改めて調べてみたら作者は同じ、多くのファンを持つ彫刻家、籔内佐斗司氏。実はあの四天王も、龍も、子供のお釈迦様(「誕生童子・花祭りの童子」と呼ぶらしい)も彼の作品だ。今回の寺の大改修には彼の工房が深く関わっており、この他にもさまざまな作品が制作され、納められたとのこと。建物の中にあって非公開のものもあるが、パブリックスペースの作品だけでも一見の価値あり、であろう。
なお、青松寺の境内からは愛宕神社まで遊歩道が延びている。出世欲のない方なら、有名な「出世の石段」を“下って”帰るのも一興かも。
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