お昼休みの礼拝堂見学
西新橋寄りの虎ノ門1丁目の街中に、プロテスタント系の「日本基督教団芝教会」がある。東京都港区の歴史的建造物に指定されている、昭和11年(1936)に竣工した鉄筋コンクリート造3階建ての建物だ。当時は付近に高いビルはなく、地下鉄虎ノ門駅を出るとすぐに目につく、大げさにいえばランドマークのような存在だったらしい。しかし現在は、外観が比較的簡素なこともあって街並みに溶け込んでおり、特に意識せずに歩いていたら教会とは気付かないかもしれない。
全くキリスト教に縁がなく、どうも教会に入るのは抵抗があるが、毎週水曜日と金曜日の11時から14時まで、礼拝堂が一般に公開されているというのでのぞいてみた。礼拝などは行っていないので、そのぶん入りやすいのは確かである。
階段を上ると、正面の外観のポイントになっているステンドグラスを間近に見ることができる。ガラスに金を含み、光が当たると独特の輝きを放つ貴重なものだそうである。礼拝堂は2階から3階の吹き抜けになっている。なかなかスケール感があり、厳かな印象である。祭壇のアーチの先端が尖ったデザインは古い英国の教会に見られ、日本では珍しいという。静寂のなか讃美歌のオルガン演奏が流れ、フローリングの床に自分の足音が響く。両側のステンドグラスの窓からふりそそぐ光。さすが、心洗われる気分になる。昼休みのひと時に、ちょっとした「非日常」の体験。なかなか良いものである。
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