日比谷公園に新たな文化の発信地
日比谷公園に図書館が帰ってきた! 2009年3月31日に101年の歴史を閉じた「東京都立日比谷図書館」は、千代田区に移管され、2011年11月4日「千代田区立日比谷図書文化館」として再オープンした。新たな「図書文化館」の外観・構造は、煤ぼけていた外壁が綺麗になったが基本的には旧・日比谷図書館のままである。千代田区の歴史・文化を保存し発信するのがこの施設のテーマであり、この建物自体が千代田区の重要な文化史跡と判断されたのだろう。しかし内装・什器はすっかりリニューアルされ、2・3階の書棚は真新しく綺麗すぎて旧図書館時代からの蔵書がいささかみすぼらしく見えるくらいである。さらに、開架だった雑誌のバックナンバーが比較的新しい分を残し閉架式になり、蔵書のコピーは自分でとれるとか、2階の閲覧席に一部千代田区民専用席が設けられるなどの変化が見られる。また書架のそこここでテーマ展示が見られ、2011年11月現在、「サラリーマンの就農」「原発」「帝国劇場」「スマートフォン」などが展開されている。
新たにできたものがカフェとダイニングレストランだ。建物の隅にある円型の、外から見るとスターバックスを思わせるカフェ(写真中)は、丸善の書店と融合していて、購入した本をその場で読める。のみならず、図書館の蔵書も持って入れるとのことだ。そして地下にある書斎風の重厚なインテリアのダイニング(写真右)では、「文明開化の味」、ハンバーグやオムライスなどの洋食が供される。運営する丸善が発祥との説もあるハヤシライスをいただいた(サラダ・スープ付で1100円)。最近の妙に甘いものでなく、昔ながらのハヤシライスであった。このダイニングにも図書館の蔵書が持ち込める。
1階には千代田区の歴史や文化を紹介する展示室があり、内容がたいへん充実している。そして4階と地下にはホール設備がいくつもあり、イベントの予定もぎっしり詰まっている。新しい「図書文化館」は、発信型の文化施設として動き出したようである。
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