聖ルカ通りを往く
地下鉄日比谷線築地駅の3番出口を出て、隅田川の方向へ折れると、「聖ルカ通り」の標識がある。
道は聖路加看護大学、聖路加国際病院、聖路加ガーデンへと続いている。一般には「せいろか」と発音しているが、本来は「せいるか」だ。それは、聖路加病院が、新約聖書「ルカによる福音書」の著者であり医者であったとされるルカ(St.Luke)にちなんだ命名だからである。
病院ランキング調査などで常にトップにランクされる聖路加国際病院。この病院のある中央区明石町あたりは、歴史好きにはたまらないエリアの1つである。江戸時代には「忠臣蔵」で有名な浅野内匠頭の屋敷や、「解体新書」が作られた豊前国中津藩の屋敷があった。明治初頭には、日本で最初に外国人居留地が設けられ、アメリカ公使館が建ち、立教大学、青山学院大学など数多くのキリスト教系の学校がここで誕生した。聖路加病院は、明治35年(1902)、外国人居留地が廃止されたあと、アメリカの宣教医師トイスラー博士によって創設された。
ここはまた、建物好きの興味も誘う。聖路加病院は1992年に敷地全体の再開発により新病院が完成したが、昭和8年(1933)竣工の旧病院棟の中央部分が保存されている(写真上左)。当時、宣教師館として建てられた建物も移築復元されている(同右)。そして、47階建と38階建の2つの超高層ビルのある聖路加ガーデンである(写真下)。高速エレベーターであっという間に46階へ。そこから階段で47階の展望室に登ると、無料ですばらしい眺望に出会える。私は勝鬨橋から隅田川河口、レインボーブリッジが望めるアングルが好きである(同右)。平日なら、46階からエレベーターを乗り換え、47階の展望レストラン「Luke」で食事も楽しめる。
※47階の無料展望室は2010年7月に閉鎖されました。
CONTENTS