雨の義士祭
12月といえば…クリスマス! 違う違う、「忠臣蔵」だよ、という人がいる。毎年12月になると忠臣蔵をテーマにしたドラマなどが必ずオンエアされる。それほど、忠臣蔵は多くの日本人の心をとらえているわけだ。今年2008年12月にはNHK教育の「歴史に好奇心」という番組で「ナナメ読み忠臣蔵」というシリーズが放映されていた。一般には主君への忠義ととらえられているが、多くの義士たちにとっては「武士の一分」つまり面目を保つという意識のほうが強かったのでは、という話を興味深く聞いた。
さて、その12月14日、赤穂浪士の吉良邸討ち入りの日、赤穂市のそれとはだいぶ趣が異なるようだが、四十七士の墓がある東京・高輪の泉岳寺でも「義士祭」が毎年行われている。今年は2003年以来の日曜日で、しかもあいにくの雨となったが、四十七士の墓所は入場制限が行われ、参詣者の長い列ができていた。
そのころ、歌舞伎座にほど近い晴海通り沿いの築地川銀座公園には四十七士が集結していた。こちらも恒例の「義士行列」である。正午過ぎ、義士たちは大石内蔵助の合図で勇ましく勝鬨をあげ、陣太鼓を打ち鳴らして出発した。昭和通り沿いに新橋に入り、西新橋交差点を経て増上寺を経由、目指すは泉岳寺…。しかし、ビニール傘をさしながらの雨中の行軍、しかも日曜日とあってビジネス街の人通りは少なく、注目度も今一つの義士行列になってしまったようである。
興味のある方は、皇居東御苑にある江戸城松の廊下跡、両国駅近くの吉良邸跡、聖路加病院にある浅野内匠頭の屋敷跡、浅野内匠頭の正室・遙泉院が余生を過ごした地(赤坂氷川神社)、浅野内匠頭が切腹した田村右京大夫の屋敷跡(工事のため碑が撤去中)なども訪ね、土産に「切腹最中」をお持ちになってはいかがだろうか。
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