東京湾は暗かった
かつての第四台場、再開発により「ウォーターフロント」と呼ばれ賑やかになった天王洲に自前の桟橋を持つ会社のクルーザーに乗った。各種パーティやイベントで貸切利用するメインキャビン(写真2番目)は49平米、隅にバーカウンターがあるだけのシンプルなスペースで、ここにドリンクやフードを持ち込む。今回は主催者に「東京湾上で好きな曲の生演奏を聴きたい」という希望があり、ミュージシャンも参加した。日曜日の夜、集まったのは70名。小雨のなか出航した。
天王洲から京浜運河を台場方向に向かうと、すぐに目の前にレインボーブリッジが見えるのだが、「あれ?」と思った。いつもなら2本の主塔や橋を吊るケーブルを彩っている照明が、まったく点いていないのだ(写真3番目)。節電中なのである。1993年の開通以来初めてであろう。このライトアップがあるのとないのとでは、橋の印象が大きく変わる。そして勝鬨、月島、佃から折り返して豊洲、台場と戻ってくるコースの両岸がどうも暗い。湾岸の各企業が照明を落としているためだという。屋形船も少ないが、これは日曜日夜だからかもしれない。多少とはいえ明るかったのはお台場方面(写真下)くらいであった。
2011年の夏は東京湾大華火祭が中止になるなど、文字通り暗い話題が多かった。波打つ暗い海を眺めながら、来年は華火祭が復活し、レインボーブリッジやウォーターフロントに照明が灯る夏を迎えられることを願っていると、船上で主催者のリクエスト「星に願いを」の生演奏が始まった。さっきまで降っていた小雨が止んだ空を見上げた。
「♪星に願いをかけて 心の底から望むなら 願いは叶うことでしょう」
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