船でゆく桜めぐり
2013年は東京の桜の開花が前年と比べて2週間ほど早いとか。入学式に咲くはずが卒業式に咲いてしまったようなものだから、その差は大きい。花見に関連したイベントも次々と前倒し開催となり、花見の第一次ピークは3月23、24日の週末になった。いくらアベノミクスの期待感があるとはいえ、給料日前ということで、予算はちょっと厳しかったのではないかと思われるが、桜の名所はどこも賑わっていたようである。
最近は都心の桜を楽しむ企画もいろいろあり、今年は新橋・汐留から、6代将軍徳川家宣の時代に将軍家の別邸として築かれた「浜離宮恩賜庭園」を訪ね、そこから船で、8代吉宗によって桜並木が植えられて花見の名所となった浅草の隅田川沿いを巡るというプランを実践してみた。
浜離宮のソメイヨシノは一部まだ蕾の目立つ木もあり、咲いたばかりということで花に力強さが感じられる開花状況であった(写真上)。毎年桜と同時期に見られる菜の花畑は、今年もきれいに咲いていたが、天候不順の影響で生育が悪いらしく、ボリューム感が今一つなのが残念であった。
そのお花畑からゆっくり5分ほど歩くと、水上バスの乗船場に着く(写真2番目)。東京都公園協会と東京都観光汽船の2つの事業者の便が出ているが、後者のほうが便数が多く便利。片道720円、日の出桟橋を経由し、浅草・吾妻橋まで45分ほどのクルーズである。隅田川を遡上する途中、大川端リバーシティ(写真3番目)や聖路加ガーデンの桜が目を楽しませてくれる。通常期は吾妻橋で下船だが、お花見シーズンはさらに上流の東武鉄道鉄橋や言問橋を超え、桜橋付近まで回遊して両岸の桜並木を眺められる特別運行ダイヤとなっており、ちょっと得した気分になれる。ライトアップした桜が好きな人には、「夜桜船」という企画も面白そうだ。
初詣が1年のスタートとすれば、花見は新年度のスタートともいえる。1年の節目の時期、一斉に咲き誇る桜の花を見て新たなモチベーションを喚起するというのは、なかなか良い習慣ではないだろうか。
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