マルシェ・ド・ノエルが東京に
フランス北東部、ライン川に面するアルザス地方の首都ストラスブール。現在は欧州評議会や欧州人権裁判所、EU議会本会議場が存在する「ヨーロッパの首都」と言っても良い都市だが、古くからライン川最大級の港を擁してヨーロッパの交易の中心として栄えるとともに、ローマ時代から宗教的にも重要な都市であり、巨大なノートルダム大聖堂が世界遺産に登録されている。
そして「クリスマスツリー発祥の地」と言われる場所のひとつでもある。クリスマスの時期にモミの木に装飾を施すことは16世紀ごろから始まり、ストラスブールには1539年の記録があるという。さらに400年ほど前からはクリスマス市(マルシェ・ド・ノエル)が開催されるようになり、現在では毎年200万人が訪れる観光資源になっている。
そのマルシェ・ド・ノエルが、2009年12月11日から25日まで、丸の内の東京国際フォーラムにやってきた。日本で初の開催という。伝統的なクリスマスの装飾品や、パン、ワイン、チーズ、ジャム、ハチミツなどを販売する小屋が立ち並び、イベントが行われ、大勢の人で賑わっていた。フードコートでは、現地から直送したというたいへん大きな釜で焼く「タルトフランベ」というピザに似た伝統料理が大人気だった(写真中)。具はタマネギとベーコンとのことで、薄くて大きい。さらに、アルザス・ロレーヌ地方の伝統料理であるキッシュ・ロレーヌ、ポテト、シュークルート(ドイツ語で言えばザワークラウト)を沿えたソーセージなどがメニューに並ぶ。いかにもドイツに近いフランスの地方らしいメニューで、チーズを使ったものが多い。
ヨーロッパではクリスマスの時期に、温めた赤ワインにスパイスを入れた、日本で言う「ホットワイン」を飲む習慣があるが、白ワインの名産地であるアルザス・ロレーヌ地方には、珍しくも白ワインを温めたものがあり、スパイスの代わりにハチミツを入れるのだそうだ。このホットワインの講習会もイベントのひとつとなっていた。
小さな木製の小屋で、いかにもヨーロッパ風の雑貨や食品を売っているのを見て歩いていると、何だか洋風の絵本の世界に迷い込んだようである。もっと盛大であろう本物はどのような感じなのか、かなり興味が湧いた。
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