江戸の秋祭り始まる
秋祭りの季節になった。会社の近辺でも、9月半ばの連休あたりからいくつかの秋祭りが始まった。徳川将軍家の菩提寺であった増上寺の目と鼻の先、JR浜松町駅から近い芝大神宮の例大祭をのぞいてみた。
この芝大神宮、古くは飯倉神明宮、芝神明宮などと呼ばれた。ちょっと見た限りではあまり歴史を感じないが、平安時代中期、1005年に伊勢神宮の分霊をまつって創建された、1000年を超える歴史を持つ古社である。特に江戸時代には徳川家康の厚い保護を受けて栄え、「関東のお伊勢さま」として関東一円の庶民の信仰を集めたそうである。歌舞伎ファンの方には「め組の喧嘩」の舞台としてもなじみ深い。
さて、この例大祭は毎年9月11日~21日まで11日間の長きにわたって行われるために「だらだら祭り」と呼ばれる。最初から長かったわけではなく、人気が高まるに連れて次第に延び、江戸時代に11日間になったとのことだ。祭りの名物と言えば、当時周辺の畑で盛んに栽培されていた生姜を売る市であり、そのために「生姜祭り」とも呼ばれた。その伝統は今日まで続き、祭りの縁起ものになっている(写真左)。さらにもう1つ、今は東京の郷土玩具となっている千木筥〈ちぎばこ〉という縁起ものも売られる(写真中)。神社建築の屋根にある長い材木が交差した独特の飾りを千木というが、その木で作られたことに由来するという説もある。千木が千着、すなわち千枚の着物という語呂合わせで、着るものに困らず良縁に恵まれ幸せになれるとされ、大いに女性の人気を集めたそうだ。
今年2008年は陰祭りということで神輿の渡御もなく盛り上がりに欠けたが、宮神輿が新しくでき、そこに御霊を宿す古式ゆかしい儀式を見ることができた(写真右)。長い祭りといっても、主な催しは3日間ほどに集中している。それを外すと誠に寂しいので、訪れる時は、よくプログラムを確認してからが賢明である。
※2010年の例大祭では、宮神輿の初渡御が盛大に行われました。
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