往年の名車90台が
都心を走る
2009年11月23日の祝日、COPPA DI TOKYO(東京カップ)が開催され、汐留シオサイトのイタリア街に、かつてヨーロッパのレース等で活躍した名車(ヒストリックカーと呼ぶらしい)が集結した。長野県の小海や軽井沢などで毎年数回開催されているヒストリックカー・ラリーの1つだが、東京開催は昨年の上野に続く2回目。今年のエントリーは90台を数え、昨年を大きく上回ったそうである。
午前10時、イタリア街の広場をスタートしたエントリー車は、絶好の秋晴れの下、約40キロの都心のコースを走り抜け、正午ごろから次々とスタート地点に戻ってきた。しかし、都心の道路に不案内な参加者も多いらしく、信号待ちの連続で前後の車を見失い道に迷うトラブルも発生、最後の車がゴールできたのは1時をだいぶ過ぎてからのようであった。もっとも最初から順位を競う意識はあまりないようで、ゴール後は派手な盛り上がりも興奮もなく、エントリー車の人気投票などが和やかに行われていた。その中で最も年代物と思われるのは「ブガッティT13」1922年式と1924年式(写真右下)。何と90年近くも前に製造された車である。それも博物館に展示しているのではない。ちゃんと公道を走れるように整備し、ナンバープレートをとって実際に走行を楽しんでいるのだ。大したものである。車のことに全く疎い私でも、クラシックな車が元気に動いている姿を見るのは楽しい。
ところで、いま自動車は時代の転換期を迎えているようである。単に不景気で売れないだけでなく車を「カッコイイ」と思わない若者が増え、車離れが構造的に広がっている。営業職なのに運転の苦手な新入社員が増えて困っている会社もあるそうだ。環境問題も厳しく、化石燃料車から電気自動車へという流れもある。そうなると、カメラ市場で電機メーカーが一定のシェアを確保したように、自動車産業の構造も大きく変わりそうだ。このような時代に売られている車の中で、いったいどんな車が「往年の名車」として100年後の世に語り継がれることになるのだろうか。
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