あなたも裁判員
2008年5月25日(日)、法務省と最高検察庁が共催し、省庁内の一部を開放して、「赤れんがまつり」が開催された。「赤れんが」は、明治の建築を復原し重要文化財となっている法務省旧本館のこと。開催の大きな目的の1つは、2009年5月21日にスタートする「裁判員制度」のPRにあり、2006年秋に第1回を開催してから今回で4回目を数える。ともあれ、日頃なかなか気楽に見て回れる場所ではないので、よい機会と思って訪ねてみた。「赤れんが棟」の見学ツアーをはじめ、盛り沢山の内容だ。この日は午前中は雨だったが、予想していた以上に来場者が多く、特に女性の姿が目立つなあ、という印象だった。
さて、裁判員制度では、裁判官3人と一般から選ばれた6人の裁判員が1つのチームになって裁判が進められる。裁判員の判断は、裁判官の判断と基本的には同等で責任は重い。最近読んだ「週刊ダイヤモンド」によれば、1年間にこの裁判員に選ばれる確率は4160分の1だが、その候補者に選ばれる確率は330~660人に1人だそうだ。2008年秋には最初の候補者の選定が行われ、2008年中には「裁判員をやってもらうかもしれませんよ」という内容の通知が来る。そんなことを思いながら、「模擬裁判」をのぞいてみた。無実を主張する被告人が真犯人であるかどうかを審議し、判決を下す内容だった。証拠が必ずしも十分ではないと思われたが、会場の見学者の多数決の結果も含め、有罪判決となった。本来、「疑わしきは罰せず」が基本のはずだが、一般市民が参加すると「怪しい」だけで有罪になってしまうケースが増えるかもしれないと感じた。
この日のプログラムの最後は、鈴木重子さんのコンサートだった。雨も上がり、5月の快適な空気のなか、心地よい歌声がサンクン広場に響いた(参考までに、地上に開放された地下のオープンスペースをサンクン:sunkenと呼ぶそうだ)。
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