「はなまつり」
にぎやかに開催
2011年4月10日の日曜、築地本願寺で毎年恒例の「はなまつり」が開催された。
日本ではたまたま桜の時期と重なるため「花まつり」の名がつき、「桜まつり」「花見」などとごっちゃになってややこしいが、本来は灌仏会(かんぶつえ)という釈迦の誕生を祝う仏教行事で、桜とは直接の関係はない。灌仏会の灌は「水を注ぐ」の意。釈迦は母マーヤが出産のため実家に戻る途中の花園で生まれ、その時天から甘い香りの雨が降ったという伝説から、花御堂の中に立つ誕生仏に甘茶をかける儀式が行われる。釈迦を宿す時、マーヤの夢の中に白い象が現れたということで、白い象もシンボル的存在である。
一般には釈迦の誕生日とされる4月8日に行われるが、築地本願寺は4月8日近辺の日曜日に開催する。築地本願寺は、非常に融通がきくというか、懐が深いというか、あまり既成概念にとらわれず時代に対応したいろいろな試みをする寺であり、花まつりも盆踊りのようにお楽しみファミリーイベントとしての性格が強く、多くの人に参加して仏教に親しみを持ってもらえるよう日曜日にしているものと推察される。
それだけに、今年は東日本大震災の影響で「自粛」が懸念されたが、ここでも機転を利かし、義援金を募って被災地を支援するという趣旨で例年並みの盛り沢山の企画を実施した。灌仏会の法要、王朝風の装束に着飾った稚児行列、災害対策や交通安全の展示、子供向けのアトラクション、大人の鑑賞にたえるステージ、そして名物「築地海鮮焼」をはじめとする模擬店も多数出店した。震災以来、久々に行われたイベントらしいイベントを、多くの来場者が楽しんだ様子だった。
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