紅葉の中を儀装馬車がゆく
江戸城本丸跡・天守台を含む皇居の東側の一画は庭園として整備され、昭和43年(1968)から「皇居東御苑」として一般に公開されている(月曜・金曜・年末年始などを除く)。さすがによく手入れが行き届いており、改めて江戸城の壮大さを実感できるとともに、日本の四季を象徴するような、変化に富んだ美しい景観が楽しめる。しかも入場は無料である。
特に今年2009年は天皇陛下即位20年の記念の年にあたり、いろいろな記念行事が行われる中、この皇居東御苑でも11月14日から特別展などが開催され、いつもの紅葉シーズン以上に賑わっていた。その最後を飾るイベントが、11月28日・29日の土曜・日曜に実施された儀装馬車2号、同3号の特別運行であった。
「儀装馬車」とは皇室の重要な「儀式」を行う際に使用される馬車のこと。現在は1号から4号まであり、特に今回の2台は昭和3年(1928)製造で、平成2年(1990)11月27日、即位の礼の際にそれぞれ天皇陛下・皇后陛下が使用され、さらに儀装馬車2号については、昭和34年(1959)の両陛下ご成婚の折も使われたという由緒あるものである。…むむむ、万が一にも「偽装」などという不届きな変換ミスは許されんぞ…緊張するなあ。
当日は午前・午後計2回の運行があり、皇宮警察音楽隊が即位の礼に演奏した曲目を披露したあと、2台の馬車がやや間をおいて美しく紅葉した苑内をゆっくりと2周し、大勢の来苑者が見守った。この見学が組み込まれたツアーも多かったらしく、国内外の団体観光客の姿も目立った。通常、皇居東御苑は入場札を窓口で預かって入場し、退場時にそれを戻すという管理をしているが、この日は来苑者が極端に多く入退場がフリーパスになっていた。両陛下がお出ましになったわけではなく、馬車だけの運行なのだが「見事な紅葉を楽しめたうえに、貴重なものが見られた」などの声も聞かれ、来苑者にはおおむね好評のようであった。
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